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■驕り

「漢族はウイグル族など55の少数民族との融和と団結を求めており、差別などはない。一人っ子政策の適用除外など少数民族はむしろ優遇されている。改革開放政策で(経済的な)格差が生まれていることが不満を生んだが、例えば(漢族の)私の四川省の両親の生活レベルよりもウイグル族の方が高い。」
ウイグル研究専門家(上海社会科学研究院)の官製談話。

「日本は漢人・満人・蒙古人・朝鮮人・日本人の融和と団結を求めており、五族協和の社会を建設したい。」
その昔、日本は「五族協和」を旗印にして、中国東北部(満州)を侵した。軍人・民間人を問わず、多くの日本人が満州で幅を利かすようになった。当時の日本人的発想からすれば、満州を開拓し、豊かな社会を共に築こうといった夢があったのか。しかし中国人からすれば、異民族に侵略を受け、抑圧・屈辱に耐えざるを得なかったということだ。中国人側も、日本に迎合する者と断固抗日運動に走った者がいた。

現代では、漢族が「五星紅旗」を旗印にして、異民族の地を侵す。軍人・民間人を問わず、多くの漢族が異民族地域で幅を利かすようになった。漢族的発想からすれば、辺境を開拓し、豊かな社会を共に築こうといった理想があるのかもしれない。しかし少数民族側からすれば、漢族に侵略を受け、抑圧・屈辱に耐えざるを得ない日々を過ごしているということだ。少数民族側も、中国政府に迎合する者とパルチザン活動に走る者もいる。

さて・・・
■驕り_e0094583_2214979.gif中国新疆ウイグル自治区で流血暴動が起きてから4日目を迎えた8日、現場のウルムチ市内に数万人規模の警官隊が展開する中、中国政府はデモ首謀者に対する厳罰を強調した。
7月8日,中国新疆维吾尔自治区冲突爆发第四天,数万名警察被部署在乌鲁木齐市内。中国当局已决定要严惩此次骚乱的肇事者。

ウルムチ市の栗智・共産党委書記は「暴力犯罪事件の犯罪容疑者は既に大半が逮捕された。(暴行の)手口が残忍で、殺人を犯した者には死刑適用もあり得る」と述べた。栗書記はまた、「法の前ではすべての人が平等だ。何族であれ、どんな人物であれ、果敢に法を執行する」と強調した。
乌鲁木齐市委书记栗智说:“目前,暴力事件的犯罪嫌疑人绝大部分已经抓获归案。对于那些手段残忍、杀害人命的暴力分子,我们甚至要对其处以极刑。”他强调说:“在法律面前人人平等,不管哪一个民族,也不管哪一个人,谁要胆敢以身试法,实施打砸抢烧暴力行为,我们一定会严惩不怠、决不手软。”

多くのウイグル族が住む同市南部に通じる解放南路、新華南路などの幹線道路には警棒や盾、催涙弾発射器などを備えた武装 警察が幾重にも壁を築き、通行を遮断した。車両通行も禁止された。ウイグル族居住地域に通じる路地には棒などで武装したウイグル族の青年が立っていた。
在通往很多维吾尔族居住的城市南部的解放南路和新华南路等主要干线道路上,以棍棒、盾牌和催泪弹发射器等武装的武警重重设卡切断出入。车辆通行也被禁止。隔着武警筑成的屏障能够看到在通往维吾尔族聚集区的胡同路上,手持木棒等武器的维吾尔族青年们正在把守的样子。

同日のウルムチ市内は数万人の武装警察が民族間衝突の防止と秩序回復に乗り出した。しかし、武装警察の壁がなければ、すぐに集団衝突が起きかねないほど、漢族とウイグル族の間の溝は深まっている。数十人規模の散発的なデモも至る所で見られた。武装警察は大型トラックに兵力を乗せ、市内全域を巡回しながら、「民族分裂を図ろうとする勢力を阻み、団結を成し遂げよう」などとする宣伝放送を行っていた。
当天,多达数万名的武警官兵在乌鲁木齐阻止汉族和维族之间的冲突,并着手恢复秩序。但如果没有武警筑成的人墙,就会马上发生集体冲突,因此两个民族之间的紧张和矛盾正在日益加深。随处都能看到有数十人发动骚乱的情景。武警在大型卡车上搭载官兵等辗转整个市内进行广播宣传“阻止策动民族分裂的势力,实现民族团结”。

華凌市場など市内の主要商店街、百貨店は一部が営業を再開したが、依然として3分の2は休業したままで、都市機能は事実上麻痺している。企業も衝突を懸念し、従業員を自宅に待機させている。
华凌市场等市内主要商场和百货商店当天部分开门迎客,但仍有三分之二以上关闭,因此城市功能事实上陷入瘫痪状态。各企业也因担心发生冲突,让员工在家休息。

華凌市場付近にある量販店カルフールが同日午前と午後に部分営業したところ、米や即席麺、飲料水などを購入しようとする市民が押しかけ、大混雑となった。
位于华凌市场附近的超市家乐福于当天上午和下午暂时开门,由于要购买大米、方便面和矿泉水等的居民一窝蜂涌入,现场显得混乱不堪。

一方、今回の暴動で銃撃による死者1人が初めて確認された。このため、暴動鎮圧の過程で当局が銃器を使用した可能性が指摘されている。中国当局はこれまで銃器使用に関し、空に向かって威嚇射撃をしたと主張していた。ウルムチ市人民医院の潘梁軍副院長は8日、「負傷者の大部分は鈍器で頭部や腹部、腕などを殴られているが、ごく少数ながら銃傷を負っているケースがある」と語った。同医院の別の関係者は「銃傷を負ったのは3人で、うち1人は死亡した。散弾銃と実弾の破片による銃傷だったと記憶している」と証言した。
在这次暴力事件中,有一人首次被证实遭枪击而死亡。就此,有些人提出,在镇压暴力事件的过程中有可能使用了枪支。此前中国当局主张,虽然使用了枪支,但是向空中开枪。乌鲁木齐人民医院副院长潘梁军8日说:“大部分伤者的脑部、腹部和手臂等处被钝器打伤,另外,尽管很少,但也有人受了枪伤。”人民医院另一位负责人说:“受枪伤的人共有3人,其中一人死亡,我记得是因散弹枪和实弹弹片等引起的枪伤。”

同医院は午後2時までに暴動による死者が17-18人、入院した負傷者が367人に上ることを明らかにした。負傷者のうち83人は銃傷で、41人は危篤だという。
医院方面还表示,截止到当天下午2时,因此次暴力事件而死亡的人数达到17至18人,因伤住院的患者有367人。其中,83人是重伤者,并且在重伤者中有41人生命垂危。

頭部4カ所と指などを負傷した電気会社勤務の楊宝偉さん(42)は「バイクでウイグル族居住地域の大湾を通った際、信号待ち中に20代のウイグル族の青年約10人に石やれんがで頭を殴られた。デモ隊が過ぎ去った後になって意識を取り戻し、現場から逃げた」と振り返った。
头部四处和手指等部位受伤的杨宝伟(42岁,在电器公司工作)说:“我骑着摩托车经过维族聚居区大湾时,因碰到红灯停在那里,这时10多名20多岁的维族青年用石块和砖头等击打我的头部。在他们过去后,我才勉强醒过来逃离了现场。”



同日昼には、ウイグル族に対する報復を主張する漢族のデモ隊数百人が「血には血を」などといったスローガンを叫び、市内各所を行進し、警察とにらみ合った。ウイグル族のデモ隊も現れたが双方の衝突はなかった。
当天,主张对维族进行报复的数百名汉族人高喊着“血债血还”等口号,穿行市内各处。尽管维族群众也集体走上大街,但双方没有发生冲突。

韓国の朝鮮日報コラムから。
55の少数民族のうち、中央政府が特に神経を使う五つの民族がいる。チベット、ウイグル、回、モンゴル、朝鮮の各民族だ。チベット族とウイグル族は独立志向の強さ、回族は外部イスラム勢力との連携可能性、モンゴル族と朝鮮族は国境の外に「母国」があるためだ。
回族を除く4民族の地域で過去数十年にわたり見られる現象がある。
それは漢族の人口比率が大きく増えたことだ。
一時200万人を超えた中国の朝鮮族は150万人台に減少した。
韓国への労働力輸出(40万人以上)と、中国国内の大都市への移住(20万人以上)で東北3省(遼寧、吉林、黒竜江)の朝鮮族人口はさらに減った。
朝鮮族が去った場所は漢族が埋めた。吉林新聞によると、延辺朝鮮族自治州の朝鮮族比率は1949年の63%から00年には38%に落ち込んだ。
こうして朝鮮族の土地は漢族の手に渡った。
ところが、新疆ウイグル自治区とチベット自治区における人口構造の変化の原因は、朝鮮族(国外移住)とは異なる。
今月5日に暴動が発生した新疆ウイグル自治区は、1950年代にはウイグル族など少数民族が人口の90%以上を占め、漢族は10%にすぎなかった。
しかし、07年現在で漢族は40%に達した。
チベット自治区では人口の絶対多数がチベット族だが、その比率は90年の95.5%から06年には92%へと低下した。
内モンゴル自治区では、共産化前の47年時点でモンゴル族(109万人)、漢族(630万人)と人口格差は521万人だったが、00年にはモンゴル族(403万人)、漢族(1882万人)で格差は1479万人に拡大した。
少数民族に子供の数の優遇を認めているにもかかわらず、漢族の比率が大きく拡大した原因は、外地からの漢族の移住だ。
特に「西部大開発」戦略で、06年7月にチベット鉄道(青蔵鉄路)が開通したことが決定的な契機となった。
新疆ウイグル自治区のウルムチでは90年代まで漢族は少数派だったが、09年には漢族が70%を占めるに至った。
その上、中国は東北3省で韓国史の根源である高句麗史を自国の歴史として歪曲する「東北工程」を進めると同時に、ウイグル、チベット地域でも彼らの歴史、文化を抹消する「西北工程、西南工程」を進めている。
チベットの宗教指導者ダライ・ラマの影響力を低下させたり、新疆で唐代の辺境開拓史を強調しているのはその一環だ。
中国の少数民族地域は国土の64%に達する。
中国はこの地域に最初に人を送り込み、次に資金と技術でその地域の経済を掌握し、最後にはその土地の歴史と文化までをも否定し、「漢族の土地」へと変える戦略を密かに進めている。
この現代版「人海戦術」と憲法上の「民族平等」との乖離を中国の少数民族は不安な眼差しで見つめている。


産経新聞から。
中国の新疆ウイグル自治区の区都、ウルムチ市で起きた暴動は1000人以上の死傷者を出す大惨事となった。背景には、先住民のウイグル族と移住してきた漢族との根深い対立、さらにいえば、中国政府が漢族支配を中心に推進してきた少数民族政策のほころびがある。ウイグル問題を検証する。
          
同自治区は中国北西端に位置し、全土の約6分の1に当たる166万平方キロの広大な面積を持つ。2008年の人口は国全体の2%弱の2100万人余だ。
核施設を抱える戦略拠点で、石油、希少金属など天然資源にも恵まれ、カザフスタンなど中央アジア諸国との石油パイプラインも通る経済の要衝でもある。
1949年の新中国建国までは主な先住民はウイグル族、カザフ族、キルギス族で、政府の移民政策により急増した漢族が今や、自治区人口の40%を超す。
高度成長から取り残されており、2008年の自治区の都市住民の可処分所得は、成長著しい沿海部の上海市の4割にすぎない。
加えて漢族と少数民族との現地での格差も大きい。公務員や国有企業社員の比率が高い漢族の収入は、農業、畜産業主体のウイグル族などより多く、安定している。その格差が少数民族の間に反漢族感情を生む。

この地域は19世紀半ばに清王朝に平定され、中国の一部となった。イスラム教徒が多いウイグル族は民族意識の高揚から、1933年と44年に2度、独立を宣言し、鎮圧されている。
独立機運は、中国当局による高圧的な民族・宗教弾圧に反発する形で再び高まり、中国当局によれば、90年代以降、少数民族の分離独立分子による破壊活動が200回以上行われ、死者も400人を超えている。
今回の暴動は、真相はなお不明ながら、漢族支配へのウイグル族の不満が爆発したものといっていい。

彼らの在外組織、世界ウイグル人会議が「武装警察が平和的なデモ隊を武力弾圧したのが発端」と主張しているのに対し、中国政府は「海外の分裂勢力の指揮による計画的かつ組織的な暴動だ」と発表、ウイグル族取り締まりは今後、さらに強化される見通しだ。
だが、政府が自らの少数民族政策を省みずに強硬姿勢を取れば、少数民族側の不満を増幅させるだけで、安定は遠のく一方だろう。

人口約13億の中国には56の民族がある。漢族が人口の92%を占めるため、他の55民族はすべて少数民族と呼ばれる。中国政府は少数民族には自決権、分離独立権は認めず、名ばかりの自治権を与えて、彼らを事実上、漢族の支配下に置く。
新疆ウイグル自治区、チベット自治区など5つの少数民族自治区を設け、最高責任者の共産党委員会書記はすべて漢族出身者に務めさせている。同時に、少数民族居住地に漢族を移民させ、同化政策も進める。
モンゴル族が住んでいた内モンゴル自治区は漢族人口が80%を超え、伝統や文化が破壊され、民族の言葉を話す住民が減っている。

中国政府は、封建的迷信をなくすとの名目で少数民族が信仰する特定の宗教にまで介入、従わない聖職者を容赦なく追放している。宗教組織を強制的に共産党の指導下に置き、反抗する者を分離独立分子と見なして徹底弾圧し、その高圧的姿勢が新疆とチベットなどで猛反発を招いている。

政府は「中国の少数民族政策は世界で最も成功した政策だ」(外務省報道官)と豪語し、(1)1人っ子政策の制限を受けず2人まで子供を持てる(2)大学入試の合格ラインも漢族より低く設定する-など、少数民族優遇政策を強調している。