■西安にて

タクシーに乗ってぼんやりと道行く人々を眺めていると、かすかに記憶している光景と重なり合った。
初めてこのまちを訪れた1975年、ちょうど今から30年前の光景。
自転車のベルの音、何千何万の「チリン、チリン」が反響し、合い間にバスとトラックの喧しいクラクションの音、拡声器のキンキン声のスローガン、いつもどんより曇った空、灰色・紺色・緑色の人民服、その限られた色彩ですら埃っぽく色褪せていた。
以来このまちには20回ほど訪れているがどうも私の琴線には触れない。
今、目の前の光景は車の渋滞、どの車も埃がこびりついている。
高層ビルと昔からの街並みが無秩序に混在し、その中を色彩鮮やかな服装が、やはり昔と同じように埃にまみれて行き交っている。
嘗ての国際都市長安の栄華を、この現在の西安に見出すことは無理だ。
確かに唐都の遺物、名所旧蹟の類は古都であるがゆえに枚挙に暇もない。
しかし私はこのまちそのものに長安の面影や微かな匂いも感じない。
更には現代中国の活気溢れ、無軌道でぎらぎらした都市の息吹も感じない。
ひとつのまちとしての新旧交々の主張が無いものだから、私のような余所者にインパクトを与えないのだ。
当地の知人は内陸都市だから沿海都市のような急速な発展状況に無い、更には古都長安の文化遺産は手厚く保存され、内外の観光客でまちは溢れている、と言う。
果たしてその程度の感性、認識でいいのだろうか?
正直言って私にはまったく魅力に欠けるまちだ。
時代に取り残され、それでもまちの風格を守っているようでもなく、古い物をどんどん淘汰し滅茶苦茶ながらも活気に満ちて変貌するでもなく、大阪のある漫才師のギャグのように「中途半端やのう!」と言いたくなる。
私の肌にはどうも合わない。明日は山西省都太原に向かう。
動画はこちらへ
[PR]
by officemei | 2005-10-09 21:46 | ■陝西