■天津にて

天津でちょっと面白い人物に出会った。
彼の言葉のイントネーションが非常に耳に心地良かったので聞いてみた。
「出身地はどこ?」
「瀋陽だけど」
「ひょっとして旗人(満族)?」
「お~!どうしてわかった?」
「久しぶりに正当な北京語を聞いたから」
「はは」
「どの旗?」
「正黄旗だ。祖父は二品官だった」
「100年前なら畏れ多くてこんなふうに話もできなかっただろうなあ」
清朝は満州族のヌルハチの下、「八旗」といって八つの軍団(軍制ではあるが集団といったほうがいいかもしれない。
一族郎党老若男女の家族すべての生活をも包含した集団)を編成し、満州(東北)の地から全中国を統一した。
その八旗の中でも最上の集団が「正黄旗」だ。
二品の位とは、日本ならさしずめ最上級の貴族に相当する。
NHKの大河ドラマ「義経」で松坂慶子演ずるところの平清盛夫人は「二位の尼」と言うし、織田信長の長男は三位中将織田信忠と称した。
中国では「官品」と言い、日本では「位階」と言う。
直接皇帝(又は天皇)に見えることのできる地位だ。
彼との話の中で意外な思いをした。
日本の中国侵略を現在の視点で否定するのは客観的ではない、と言うのだ。
当時の両国の状況から見れば、日本の満州進出(侵略)には必然性があったし、それを抑止できない当時の中国の国力こそ問題なのだ、と。
すべての事象を後の時代の感性で評価するのは間違っている、と。
これについての私見は敢えて述べないが、そういう考え、見識を持つ人も中国には存在する、ということだ。
彼は清朝最後の皇帝である宣統帝(満州国皇帝)の事を「皇上」(おかみ、陛下)と尊称した。
中国や台湾の歴史ドラマなどでよく耳にする言葉だ。
満族の知識人の中では、戦後60年経った今でも、中華民国元年(1911年)から数えても約100年経っている現在でも、彼のような多分に復古癖っぽい人がいるのだろうか。と言った意味で変な、おもろい人物に出会った。
今日は天津YMCA開設110周年の記念イベントの中、中日両国YMCAの連絡委員会に出席。明日の夜10時頃の便で大連に向かう。
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by officemei | 2005-10-09 22:05 | ■天津