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■福州にて

福建省都・福州市は、市街地約250万、近郊を併せると約600万の人口を有する。
古くより榕樹が多く、「榕城」とも呼ばれる緑濃いまちだ。
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このまちは規模として適当なサイズにまとまっていて、南方特有の匂い(言葉で形容し難い)があり、私の好きなまちのひとつでもある。

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今回で九度目の訪問、仕事に追われて観光らしきものは一度もしていないが、福州を筆頭に、福清、アモイ等のまちにも、又神戸や姫路にも福建人の知人が多くいる。




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この地は華僑のふるさとと言われるほどに、古くから海外へ生活の場を求める人が多いが、私の故郷兵庫県も特に神戸を中心として福建出身華僑が多く、福建閥が存在する。
マレーシア・インドネシア・シンガポールの華人社会でも福建閥は大きな力を有しており、私にもシンガポールとペナンに福建を本貫(本籍)とする友人が何人もいる。

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そもそも元朝の頃の泉州(福建)は国際港で、イスラム世界の人たちも常住していた。
その盛況ぶりはマルコポーロの「東方見聞録」にも記載されている。
明朝の頃の鄭和も福建人で、大船団を率いて遥かアフリカやアラブの世界まで渡航しているが、その船団基地は福州にあった。「中国の大航海者 鄭和」(清水新書)を一読されたい。

福建人は海外移住者が一族縁者に必ずいるのが普通という環境なので、中国の他の地域の人たちと比べると、明らかに違った海外感を持ち、できれば海外で一旗挙げたい、といった山っ気も持っている。
そのことがいい目に出るか悪い目に出るかは、例えば・・・
成功者は莫大な資金を故郷に投じ、学校や病院などの建設資金を寄付し、地元に貢献する。
失敗者は闇の世界に身を落とし、違法行為を続けて当該国官憲に逮捕され犯罪者となる。
その中間の人たちは、ある者は堅実にその国に根を張って生きているし、ある者は闇の世界で生き続けている。
日本における「蛇頭」「密入国」「不法滞在者」「偽装結婚」「風俗営業摘発者」といった関連名称の中には相当数の福建人がいるのが現実だ。
その故か、福建人をとやかく言う日本人はかなり多いが、悪い奴はどこにもいるし、とりわけ福建がダーティなイメージを冠せられるのは間違っている。
むしろ、進取の気風に富んだ気質、と賞賛すべきかもしれない。
物事は純粋に一方だけを見ることはできない、清濁併せてその上で判断すべきだ。
福建はいい匂いのするまちだ。私はそれを良しとしたい。
by officemei | 2005-10-21 20:02 | ■福建