■台湾の行方

e0094583_13374237.gif戦後60周年にあたる今年(2005年)は、テレビでも報道特集やドキュメント、記念番組が流れていたが、中国メディアと比較すると日本のそれは概して低調だった。

日本においては既に「戦後は遠い過去」のこと、といった感がする。
だが中国ではそうはいかない。
現代中国のそもそもの出発点、背景は日本軍国主義の中国侵略からついに「勝利した」ところから始まる。
これを中国では「光復」と言う。

今年の春からずっとメディアを通して抗日戦争勝利60周年を祝う特集・記事・番組が多く、「戦後生まれ」の私ではあるが、中国を専門にしてきた日本人としては、両国の60年の歩みとその前の不幸な歴史を振り返る機会が多い。

10月になってからテレビ番組で台湾光復60周年記念番組が連日流れた。
私は上海に居て、その台湾特集に違和感を覚えつつも見続けた。
殆ど外省人かイデオロギーに関係を持つ人々の声で、本省人(台湾)や一般民衆の声を反映しているとは思えない編成だと感じた。

浅学にして8月15日の「光復」が何故10月の今なのかという疑問もあったが、今回台北に来てある雑誌を見て納得した。
ここにその記事を紹介し、台湾の「光復」、台湾の現状を考えてみたい。
今後5年間、2010年を迎えるまでに台湾政界は恐らく大きく変貌するであろう。
民進党が下野すれば益々中国協調路線に進み、一般民衆の現状維持姿勢は保てなくなるだろうし、統一に向けての大きなターニングポイントを迎えることとなろう。
それが好む好まざるにかかわらず趨勢となってくるに違いない。




ふぉるもさフォーカスより

「光復」60周年の台湾とその行方
いま、日本で学校の教科書として使用されている社会科地図帳が、台湾を中華人民共和国の一部として扱っているとして、在日台湾人らから抗議の声があがっている。
地図や統計で台湾が中華人民共和国に含められているほか、東京書籍の中学校「新しい社会科地図」には台湾が「1945年中国へ返還」という説明も見られるという。そういえば、台湾では10月25日を「光復節」と呼んで祝日としている。
1945(昭和20)年のその日、日本の安藤利吉・台湾総督は、台北で行われた「受降式」で降伏文書に調印した。その調印を受けて、中華民国の陳儀・台湾省行政長官が、「本日より台湾および澎湖列島は正式にあらためて中国の版図に入り、すべての土地、人民、政事は中華民国政府の主権下に置く」ことを宣言したのだ。
これはつまり、日本が台湾を中国(中華民国)に返還したことを意味しているのではないだろうか?
これを、先の地図帳の問題で自らも版元への抗議活動をしているメールマガジン「台湾の声」編集部に問い合わせてみた。
「領土変更は原則として条約の締結を以って行うもので、降伏だけで、直ちに領土変更が行われるものではありません。その証拠に、日本は1951年に締結したサンフランシスコ条約において、台湾の領土権について言及し、それを放棄しました。放棄された台湾は、国際法的にはその地位が未定であるともいわれています。」
とはいえ、台湾を実際に統治しているのは中華民国である。その間に中華人民共和国が成立し、台湾海峡の両岸で対峙するようになった。
アメリカのインターネット検索サイト・グーグルの地図サービスでは、台湾を「Taiwan ,The Province of China(台湾、中国の一省)」と表記していたところ、台湾の陳唐山外交部長が「台湾中華民国は主権独立国家であり、絶対に中華人民共和国に属していない」として、外交部から正式に抗議した結果、10月9日に「省」が削除され、「Taiwan」として「China」とははっきり区別されるようになった。
10月20日、ワシントンを訪問した李登輝前総統は、全米記者クラブの会見で「総統を務めた12年の任期中、「中華民国」を国際的に承認されるよう努力したが成功しなかった。いま台湾には二つの道しかない。「中華民国」を国際社会に認知してもらうか、名前を「台湾」に変えるかだ」「全世界が中華民国の存在を認定していない。世界の多くの国は国名を変えたことがある。「中華民国」が存在しないこのような状況では、当然「台湾」と呼ぶべきで、新しい台湾憲法が必要だ」と主張した。
(光復)60周年にあたる今年の10月25日、陳水扁総統は、「過去100年台湾にとって非常に重大な影響を与えた事件があり、一つは1895年に台湾が日本に割譲されたこと、もう一つは1945年のいわゆる光復」で、双方とも「台湾人民の同意を経ずに行われた」と指摘。「この日は台湾人が主人になるべき日で、光復は絶対に(中国への)復帰ではない」と主張し、民主自決を訴えた。
これは中華人民共和国(中国)が台湾の光復節を大々的に祝って、「台湾が中国に返還された日」を宣伝していることに加え、台湾野党の親民党と国民党が中国に呼応して「一つの中国」を前提とした海峡両岸和平促進法を立法院(国会)で法制化しようとしていることに対抗したものといえる。
和平促進法の草案には、「一つの中国」を両岸がそれぞれ解釈することで中台が合意したとされる「92年合意」を前提とし、総統の合意なしに立法院(国会)が中国北京政府と軍事協定や自由貿易区などの協定を結ぶことができるという内容が含まれている。国会で野党が多数である「ねじれ現象」を利用して、本来総統の下の行政が行うべき権力秩序を立法が破壊してしまうという問題のほか、「一つの中国」が台湾野党によって法制化されてしまうことによって、国際社会でより台湾の生存空間が狭められるという懸念がある。
与党の民進党や台湾団結聯盟は和平促進法を「投降法」と呼び、強烈に反対している。陳総統も10月17日に受けたテレビインタビューで、台湾人民による未来の自由選択の権利を剥奪し、台湾の前途に生きるか死ぬかの重大な影響を与える和平促進法は「血を流してでも成立を阻止する」と語気を強めて語った。
台湾は中国に光復(降伏)するわけにはいかないというわけだ。
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by officemei | 2005-11-05 16:50 | ■台灣