■華西街界隈

台北・華西街界隈の雰囲気が良く表れているので抜粋してみた。
「女ひとり・突撃アジア」のなかあき子著(青春出版社)から
雨が時折ばらつく、どんよりとした空。2月の台湾は、けっこう肌寒く、数日前から体調すぐれぬ熱っぽい身には、排ガスまじりの寒気がこたえる。空、道路、建物、オヤジの髪・・・目につくすべてのものがグレー。なんか、シケた街だなあ。台湾の浅草と呼ばれるオヤジな街、華西街。精カ系ゲテモノ料理店あり、アダルトグッズショップあり、娼館あり。初の台湾探険は、そんなオヤジ臭プンプンのところから始めたい。華西街のすぐそばに宿をとった。ガイドブックに載ってはいるものの、もろ連れ込み宿風の、雑居ビルの中にあるボロ宿である。案内された部屋は、3畳、窓なし、鏡張り、うっすらポマードの臭いのする枕。じめっとした空気は、前に泊まったオヤジの体温が残っているのか。これで1泊700元(約2,450円)。けっこう高いぞな。この宿で、台湾人の友人、日本人の友人と待ち合わせをしているのだが、なにせロビーもないボロ宿。雑居ビルの3階ということもあり、通りに出て待つことにする。ぼおっとビルの前に立っていると、妙な雰囲気に気付く。行き交うオヤジがジロジロ見ていくのだ。立ち止まる奴、ヒソッと話しかけてくる奴も。・・・アヤしい。「台湾のオヤジってフレンドリー!」なんて決して言える雰囲気ではない。数分前から、自転車を押す手を止め、目の前で立ち止まっている男がいた。小柄で、髪が薄く、年は六十前後か。目が合ったとたん、何か小声でまくしたててきた。やっぱりアヤしい、まわれ右。ドアを開け、階段を昇って宿へ戻る。すると、そのオヤジもついてくる。走る。オヤジも走る。おいっ、こいつは何なんだ? オヤジ; 「×◎△○×○×、○×○×・・・ (この女に、按摩してもらいたいんだけど)」宿主; 「◎△○×○! ○×、○×○! (アホ! この女は旅行者だ!)」 立ちつくす私、怒る宿主、「間違えちゃつたあ」かわいくテレ笑いしながら退場するオヤジ。この辺には、男のための按摩屋が多く、その客引きと間違われたってわけなんだな。ああ、これが華西街。その夜、友人に街を案内してもらった。乱暴にいえば、精力つけるぜ系食べ物屋、アダルトグッズ、みやげ物屋が順番に並んでいるような。蛇の生き血を絞るショーやら、スッポンをさばくショーやらが、精力つけるぜ系各店の前で行われている。オヤジは真面目顔、欧米観光客はウエッてな顔、子供はびっくり顔、とにかく皆凝視している。欧米の自然保護団体からクレームがくるとヤバイらしく、写真撮影は絶対禁止だとさ。そして、お次は「成人情趣用品」店、アダルトグッズショップ。こちら、かなりあっけらかんとしている。女子高生なんぞもいるではないか。友達へのプレゼントを選んでいるというが、どうなんかねえ。ふふふ。スケスケのエ口下着、イチモツにはめる毛がついたリング、女性の局部再現マシーンにゃあご丁寧にも、リアルに毛が生えているし,オヤジ雑誌の通販ページにあるような品々を、間近でじっと見られるのは新鮮なもんだ。「うっへぇ! これ、本当に入るんかい?」「ううむ、これをあそこにグルリと・・・い、痛いのでは」「なるほど。毛の感じがそれっぽいかも」勝手なコメントをブツブツ心で唱えつつ、グッズ屋をはしご。店頭の金ピカ巨根の置き物なんて、いったい誰が買うんでしょうなあ。この辺り、スーパーでも、キッチングッズやトイレットペーパーの脇の棚に、アダルトグッズが並んでいたりするぞ。通りをはさんで、さらに奥に続く商店街はほどよくさびれた雰囲気。うす汚れた螢光灯に昔の縁日にあったような射的なんぞのゲームが照らし出され、数十年前にタイムトリップしたようだ。揚げパンをつくる店やら、怪しげなカラオケスナックやら、どう見ても観光客向けではない店が目立つように。う~ん、そろそろ・・・という予感は的中。路地を覗くと、妖しく輝くピンクやブルーの螢光灯が目に入った。あの光は娼館に違いない。光に吸い込まれ、近づいていく。厚化粧の若い姉ちやんたちが、やる気なさげに店の前に立っている。奥には薄暗い部屋が。蛇、スッポシで精力をつけたオヤジたちは、蛾が明かりに引き寄せられるがごとく、色つき蛍光灯に向かっていくのか。そしてすっこ~んと魂抜かれて、帰りゆくのか。ここは「宝斗里」と呼ばれている。もともと歓楽街だったが、日本の台湾領有時代に娼館がわんさかできたという。日本の業者が、日本から娼婦を連れてやってきた。リトル吉原だったのだろうか。もちろん台湾人の娼館も続々登場。日本撤退後も、政府により公娼街として認可され、今に至るという。ちなみに、お値段は15分1,000元(約3,500円)。早い、若い、安いと三拍子。しかし、15分って。1分1秒たりとも無駄にできませんねえ。かなり集中せんと、いかんですねえ。この公娼街を抜けると、さびれた雰囲気の裏道にでる。さて、そこで目につくのは「鹿」の看板がズラリ。裏通りは鹿肉街であったのだ。「強壮精カ」看板にあるように、鹿肉も精カ系の食品なのである。一戦終えて魂抜かれたオヤジたちは、ここで精力を補給して、二回戦に挑戦なのか。それとも、古女房の待つ家に帰るのに、もう一歩たりとも動けないってんで、栄養補給か。そんな鹿肉、友人のすすめで我々も食べていくことに。サイコロステーキの形状をした肉が15個程で、100元(約350円)。粉ワサビをデロデ口に練ったもんと醤油で食す。それほど臭みもなく、固くもないが、うまくもない。息を止めて、コーラで喉に流し込む。むぐぐ。そして翌日。寝汗をやけにかいての起床。部屋が湿っぽい、不快。でも確かに熱は下がり、疲れもとれていたぞ、おそるべし鹿肉。そんな華西街に、結局三泊もしてしまった。路地を、脇道を、歩けば歩くほビ、オヤジな場所。ありゃ、私の黒のジャンパー、隣を歩いてるオヤジのと似てまいか? 串焼き食いながらアダルトグッズ屋台を覗く姿も・・・。雰囲気に流され、自分もオヤジ化せぬよう要注意。
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by officemei | 2005-11-24 19:26 | ■台灣