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■ 桃園国際空港第1ターミナルリニューアル

在旅行的路上(台湾・桃園国際空港第1ターミナルリニューアル記念ソング);


私は子供の頃から匂いに敏感でした。と言うと、くさいものを嫌悪するように思われるかもしれませんが、まったく逆。
ずっと以前、文革末期の北京に暮らしていた頃、真冬にタクシーに乗ると運ちゃんの放つ汗っぽい工人服の匂いと、もう1ヶ月は風呂に入っていないと思える体臭と、ちょっと前に食った大蒜(にんにく)の匂いが、暖房の熱気に増幅されて車中に充満していました。
同乗の上司の奥さんはあからさまに窓を開けて、凍てるような外気を吸って我慢していましたが、私は匂いよりも寒さに震えていました。
当時の中国では、駅の待ち合いなど人の集まる所には咽るような臭さがありましたが、私は左程気にならなりませんでした。
唯一忌避する匂いは血の匂い。見るのも嫌だから匂うと卒倒しそうになります。
昔、台北に一時期暮らしたときに、居候先の奥さんと夕食の買い物に市場へ行ったことがあります。生きた鶏を一羽買ってその場で絞めるのです。鮮血の匂いに眩暈がしました。
いろいろな場面で匂いを感じますが、特に私はまちの匂いを嗅いでみる習癖があります。
例えば、東京山手線の駅には匂いを感じませんが、大阪環状線の駅には必ず匂いがあります。
駅に降りて何の匂いも感じなければ、そのまちに長居はしたくありません、無機質そうで。
学生時代に東武東上線上板橋にすんでいましたが、この駅に降りると下町の匂いがしました。
京都にも半年ほど暮らしたことがあります。
食べ物と線香と鬢付け油と蝋の匂い、それと繊細な着物の匂いを感じましたが、一番感じたのは、湿気た匂い。
大阪にはもっと鮮烈な匂いがあります。お好み焼きのソースを焼いた匂い、丼物の汁の滲みた匂いや麺類のつゆの匂いにキムチの匂いは当然ながら、一番感じたのは繊維の匂い。
神戸はケーキやパンの匂いと中華料理の酢と油の匂い、それにインドの香料とカレーの匂い、特筆すべきは皮革の匂い。
関西の三都は京都の着倒れ、大阪の食い倒れ、神戸の履き倒れと言って、京都の着物・大阪の食べ物・神戸の履物を形容するほどにその業種に係わる消費が多いところです。
これもそのまちの匂いにかかわっているように思います。

さて、台湾。
空港に着くと独特の匂いを感じました。むっとした空気と塗料の匂いが合わさった匂いでしょうか。「あ~、帰ってきたなあ」と安堵感を覚える匂いでした。
その第一ターミナルがこの夏リニューアルしました。
あの匂いはもう嗅げなくなりました・・・
by officemei | 2013-10-28 10:13 | ■台灣