■食在台湾

エネルギッシュな台湾人をよく象徴するのが、その旺盛な食欲である。
新年が発財(今年もお金が儲かりますように)で始まれば、ふだんの挨拶は「食飽未」(おい、メシ食ったか)である。発財するにも、お腹がへっては戦にならないではないか。とにもかくにも、この国には「武士は食わねど高楊枝」などという考えは似合わない。うれしいときも悲しいときも、まずは「食べる」ことから始まる。台湾人は昔から「吃飯皇帝大」(せめて食べるときは皇帝と同じ気分になりたいもの)と、誰もが美味なるものをたらふく食べたいと願い、日々実践する。
幸い台湾は今や「食在台湾」と言われるくらい、食通にはうらやましい世界的なグルメ天国だ。大通りをちょっと歩けば、それこそ中国五大菜(北京、上海、四川、湖南、広東)から雲南、山西、蒙古料理まで、本場の大陸にも負けない中国の伝統料理がすべて満喫できる。おそらく、人口当たりのレストランの数は世界一、二を争うだろう。これも、蒋介石軍が戦後大陸から渡ってくるとき、故宮博物院の宝物と一緒に中国各地の名コックたちを連れてきてくれたおかげと、台湾の食通たちが苦笑する。毎年8月には台湾の食天国ぶりが「台北中華美食展」として存分に誇示される。誰が言ったか、人間最高の幸せが「日本女性を妻にし、洋館に住み、中国料理を食べることだ」とすれば、台湾人こそ毎日が「口福」と言えよう。
最近は台湾人もみな多忙となり、特に若者にはアメリカ流ファーストフード店がなかなかの人気だ。だが、家族と良き友とゆっくり食べるにはやっぱり中国料理に限る。朝は早くから近くの公園にくり出し、朝オケや太極拳で一汗流してからいつもの屋台か小吃でお粥をすする。あるいは、豆乳に焼餅(平べったい小麦粉パン)、油条(細長い揚げパン)がおなじみのヘルシーな朝食。OLは豆乳にボリューム満点のサンドイッチ弁当を買い込んで会社へ行くのが当世流。昼は好きなものを自分で皿に選んで食べるバイキング式自助餐が一般的。ここでは豚や鶏肉、魚などを使った庶民の味がメインだ。そして夜は思いっきり食べようと若者は屋台のはしごか、吃到飽(食べ放題)ヘと向かう。ポピュラーな屋台メニューは台湾版カツ丼の「排骨飯」や「牛肉麺」、「虫可仔煎(かきのオムレツ)」、「肉粽(ちまき)」、「米粉(ビーフン)」、「魯肉飯(豚肉のそぼろかけ)」など。食通はフカヒレやアワビ、ツバメの巣などの故事来歴、美味しい食談義に花を咲かせながら、文字通り「皇帝流口福」のときを愉しむ。事実、中国の名物料理には、満漢全席を産んだ乾隆帝を始め、秦の始皇帝や隋の煬帝、唐の則天武后、清の西太后といった、歴代皇帝や女帝にちなんだエピソードが多いため、食談義からしてスケールが大きくなってしまう。したがって、宴席はだれもが皇帝の気分となって盛り上がり、宴会時間も二時間、三時間と延長しようというもの。この夕食タイムが各人の胃袋によって午前二時、三時まで続く。台北の夜市(士林や復興南路の通称「お粥横丁」など)は午前零時を過ぎてからがいよいよ本番だ。
いったい、台湾の人はどのくらい食べるのか、ごくふつうの人曰く「毎年、台北から高雄まで(約360キロ)の高速道路の建設費くらいですかね」と。
(マクミランランゲージハウス「台湾人のまっかなホント」より)
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by officemei | 2006-01-11 23:52 | ■台灣