■役人天国

e0094583_17415658.gif2006年4月28日 世界鑑測 中国・キタムラレポートより



役人天国・中国 公費浪費の凄さ
中国共産党の幹部養成学校である中央党学校が運営する新聞「学習時報」が、役人による公費浪費の実態に関する記事を3月中旬掲載した。
この記事によれば、役人の公用車及び公費飲食の年間総額は6000億元(約8兆7000億円)に上るし、海外出張に関わる公費支出も1999年時点で年間3000億元(約4兆4000億円)に達していたので、学習、訓練、視察といった各種名目での海外出張は2000年以降も増大しているとしている。
従い、これらを総合すると、少なくとも9000億元(約13兆1000億円)以上の公費が役人達により浪費されている勘定になる。2005年、中国の全国財政収入は3兆1628億元であり、9000億元はその約28.5%に相当する。これでよく国が運営できるものだと感嘆するのみ。
公用車の年間支出は軍事支出を上回る
中国の統計によれば、2004年の公用車総数は少なくとも400万台あり、公用車関連経費の総額は4085億元(約5兆9000億円)で、これだけで全国財政収入の約13%以上を占めている。1台の公用車にかかる経費は、車の購入費、燃料費、修理費及び運転手の給与と福利厚生などで、これらの合計額は年間10万元程度となり、公用車を400万台として計算すると、ほぼ上記総額と合致する。昨年12月7日付の新聞「報刊文摘」は、公用車の年間支出3000億元は中国の軍事支出をはるかに上回り、全国の教育経費と医療経費の合計を上回っているのには驚かされると報じている。
しかし、「驚かされる」は単なる言葉遊びに過ぎず、中国の一般大衆にとっては、さもありなんという感じで、驚きよりもこの数字に納得しているというのが正しい。上述した公費の海外出張費の3000億元超えが1999年であることを考えればこれもうなづけよう。
チベット自治区に隣接する辺境地区である青海省の尖扎県という田舎は国家級貧困県と認定されている貧乏地域だが、なんとここの県政府は2003年以来、20万元から40万元もする乗用車を二十数台も購入して公用車としているし、同じく貧困県で7億元もの財政債務を抱えている湖南省衡南県では、500万元もの公費を使って幹部用に公用車を購入している。要するに、公用車は役人の権威の象徴であり、私用に使うのは当たり前。中国メディアによれば、公務3分の1、幹部や親族による私用3分の1、残りは運転手による私用が3分の1とのこと。
公費飲食は約2兆9000億円
蛇足だが、中国では幹部を宴会に招待すると、幹部の車の運転手にも食事代として現金を包む習慣がある。幹部の地位によって食事代の額に差をつけないと、帰りの車中で高位幹部の運転手が「あそこの会社はケチだ」と嫌がらせをされかねないので注意が肝要。
さて、公費飲食だが、こちらは全国で1年間に2000億元(約2兆9000億円)以上が支出されている。中国政府は公費飲食の中心である宴会費用の削減を図るべく、かつて宴会における料理数に限定を設けたり、1人当たりの料金を抑える指示を出したことがあった。しかし、一時的には守っても、いつの間にか忘れる中国式で、今や元の木阿弥で高級食材にうつつを抜かす日々。
公費の海外出張はどうか。かつては「訪日○○代表団」という形で訪日する中国ミッションのホテルは、中国に便宜を図って優遇するホテルニューオータニ東京や新高輪プリンスホテルといった辺りが一般的だったが、今や最高級のホテルオークラ東京に泊まるミッションまで出る始末で、中国ミッション主催のパーティーは日本企業のそれよりも豪華なものとなっている。昔を知る者にとっては、何となく違和感を覚え、一体この金はどこから出ているのと聞きたくなる程。それだけ中国が豊かになったのかもしれないが、観光が主目的で、視察だの学習だのという名目は付けたしのミッションが相当の比率になっているのも実態のように思える。
中国と商談をしていると日本企業は不利を痛感することがしばしばだった。この理由は極めて簡単、距離が近すぎること。日本ならば、いつか行くことも可能だが、欧州や米国はおいそれと行くことができない遠隔地。それなら契約してメーカー視察の名目で観光して来ようというのが人情。必然的に公費で米国のディズニーランドやパリのベルサイユを見物して来ようとなる。高位の高官が団長を務めれば、その部下が大挙して随行、引退直前の幹部も最後の思い出にとメンバー入り。一定以上の役職につけば、部下を海外へ連れて行ってやることでその忠誠心を増強させることができ、しかも費用は公費と一石二鳥。
こうした公費の海外出張が、中央政府のみならず、地方政府の省・市まで全国挙げて行われれば、その総額が3000億元以上になるのは十分に納得できる。いまやアフリカのサファリにまで視察に出かけるミッションも出て来そうな状況にある。
公費の浪費を抑えることで、どれだけ中国社会に蔓延する社会的矛盾を解消できることか。ただし、こうした役人天国は中国の「宿痾」のようなものでおいそれとは無くなるまい。
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