■有名大学「裏口入学」の実態

e0094583_21393281.gif2006年5月26日 世界鑑測 中国・キタムラレポートより

ネットで明かされた 有名大学「裏口入学」の実態
2001年8月、江沢民の出身校である上海交通大学のネットワークサーバーが、ウイルス感染により外部接続不能となった。外部接続不能で退屈なコンピューターおたくの学生がでたらめにネット内探索を行った結果、大学教務部のコンピューターから「とんでもないリスト」のゲットに成功、そのリストをこれ見よがしに学内のネット掲示板に張り付けた。




「とんでもないリスト」とは、上海交通大学の入学試験の別枠選抜リスト、すなわち「裏口入学要請リスト」であった。このリストは、学生名、地域、全国統一入試点数、加点要素、専攻学科、依頼人、処理対応意見という分類で構成されており、約200人の学生のデータが記されていた。最も目を引いたのは、「依頼人」の項に書かれた人々の肩書で、地元の上海市政府はもとより中央・地方政府の幹部級の職責がずらりと並んでいた。
ネットで明かされた「名門大学」の不正
リストは学内のネット掲示板に張り出されてから20分後には大学側によって削除されたが、学生が外部のネット掲示板にも張り付けたことで、全国に知られるところとなった。当の上海交通大学の在学生や受験生が怒りの声を上げたのは当然だが、全国的にも大学入試の不正と不公平をなじる声が沸き上がり、波紋は大きな輪となって広がった。
全国に1700以上ある大学中の名門大学への入学は将来の立身出世への近道であり、その名門大学の1つ「上海交通大学」に子供を入れたいと考えるのは親の常、ただしコネを使ってそうした特権に甘えることのできるのは一定以上の幹部クラスに限られる。
大学側は幹部の階級やコネの力関係を考慮して、依頼を受けた受験生の入試点数に適当に加点、その上で特別枠の枠内に入った受験生を合格とするというのが裏口入学の仕組み。当然ながら、特別枠で入学するとなれば相応の謝礼が必要で、その相場は数万元から十万元程らしい。
名門大学の卒業予定者であれば前回述べた新卒失業という可能性は極めて少ないと言ってよく、新卒失業者の大部分がいわゆる駅弁大学の卒業生であることは論をまたない。
このため、大多数の大学では卒業生の就職率を水増しして、入学志望者を増やそうと必死に努力している。中国では毎年複数の組織が「大学排行榜」(大学ランキング)なるものを発表するが、昨年ある田舎大学の学長が今後10年間大学ランキングの発表を停止する条例を作れ、と国会に相当する全国人民代表大会に要請したという話も伝わっている。
さて、話がだいぶ横道にそれたが、名門、駅弁を問わず大学の学費はどれほどかかるのか。
去る3月に開催された中国人民政治協商会議の全国委員会で、ある委員から全国の大学の1人平均の学費は20年前に200元程度だったものが、今や5000元を超えて25倍以上になり、一般人の収入の伸びを大きく上回っているとの指摘がなされた。
学費に寮費や生活費を含めると、1人の大学生が卒業するまでには4年間合計で平均4万元以上が必要となる由。2005年の農民1人当たり平均純収入は3255元に過ぎず、4万元はなんと農民の12年半の収入に相当する(都市住民の平均所得では4年分に相当する)。
農民家庭にしてみれば、苦しい農民生活から脱出させようと必死の決意で借金をして子供を大学に進学させたが、卒業する段階になったら就職出来ずに新卒失業、就職出来ても低月給の職場では、泣くに泣けないのが現実である。親の苦しい生活状況を知っている子供にしてみても、卒業したら親に楽をさせようとの夢は実現の見込みは立たずしぼむのみ。
では、どうしてこのような「大学は出たけれど」時代が経済の高成長期に訪れたのか。
北京のある大学の人材市場の専門家である某教授は新聞記者のインタビューに次のように答えている。すなわち、「高等教育」の規模拡大は、インド、フィリピン、韓国といった国々では普遍的なことで、中国もその例外ではない。
ただし、中国の場合、規模の拡大が過去数年間にわたって毎年30~40%という速さで行われたため、毎年の経済成長率8~9%との間に大きな差が生じ、過剰に送り出された大学卒業生を職場が吸収しきれなくなった。大金を必要とする大学進学は一種の投資であり、当然ながら将来それに見合っただけの回収を得ることが期待されている。
大学卒業の肩書きが意味を持たない?
ところが、昨今の大学生の就職状況を見ると、大金をはたいて投資をしたにもかかわらず、回収のめどが全く立たない状況にある。
投資に見合った回収をしようとすれば、必然的に都市での就職を希望することになるが、上述の某教授が大学卒業生に対して行った調査結果では、農村での就職を希望する比率は22.6%に過ぎず、大学卒業生のほとんどが都市での就職を希望しているのが実情。一度農村に就職してしまうと、後から都会に就職し直すことが極めて困難になるという中国の特殊事情もあり、大学卒業生の都市集中が就職をより一層困難なものとしている。
大学卒業者の規模は今後ますます増大することが予想されるが、中国政府が大学卒業という肩書が大きな意味を持たない時代の到来を国民に十分認識させるように努力しないと、「大学は出たけれど」という現実に直面して不遇をかこっている多数の大学卒業生の不満が爆発する可能性を否定できない。
2005年4月に起こった反日デモにもこうした不満分子が多数混じっていたことは紛れもない事実である。
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