■ジャスミン・茉莉花
映画“茉莉花開”(邦名;ジャスミンの花開)は、祖母・母・娘という3世代の女性たちの生き様を描いた作品。
抗日戦争時代を生きる“茉”、文革時代を生きる“莉”、そして改革開放路線へとひた走る現在に生きる“花”。
3世代の女性が一途な愛へと走る・・・
舞台は1930年代の上海から始まる。
写真館の娘“茉”は映画スターの座につくが、妊娠した挙句、芸能界を追われ私生児を出産する。母は自殺・・・
時は流れ、1950年代。
“茉”の娘“莉”は母に反抗し、工場で働く同窓生と結婚するが不妊症に悩み、孤児院から女の子を引き取り“花”と名づける。
だが情緒不安から精神に異常をきたし、夫は絶望し自殺、“莉”も自殺・・・
そして、1980年代。祖母の“茉”に育てられた“花”も結婚し妊娠するが、夫の浮気がもとで離婚。祖母の死や出産を経て、力強く生き抜いていこうとする・・・
私は“我的父親母親”(邦名;初恋のきた道)からずっと章子怡の作品を鑑賞してきたが、この映画ではむしろ“茉”の母役・陳冲の演技に注目した。
いかにも旧上海の中流階級婦人といった雰囲気と科白の上海語、しっくりした旗袍。
元々上海っ子で、アメリカの大学で映画製作を専攻し、監督業もこなす彼女の感性がぴったりこの役にはまっているように感じた。
映画“ラスト・エンペラー”で皇后役を演じた彼女よりも、この映画のほうが出来がいい。