■坊子について
私は鉄道でこの駅(坊子)を通過したことがあるが、降りたことはない。
車窓から近づくまちを、過ぎ去るまちを、瞼に焼き付けただけだ。
私の恩師・井上隆一先生(物故)は戦時中にこのまちの駅長をされていた。
省都済南や青島とは比べようもない田舎町だったが、大きな炭鉱をかかえていた。
当時このまちには日本軍の大部隊が駐屯しており、更には満鉄(南満州鉄道)の姉妹会社として、北支一帯には華北交通という鉄道があって、坊子駅は当時、山東省のなかでも済南・青島に次ぐ主要駅だったらしい。
先生が翻訳された「鉄道遊撃隊」の背景は、山東省における抗日戦。
この小説は後に映画化され、又数年前にはリメイクされたものがCCTVで流れた。
当時日本軍傘下にあった鉄道の駅長、そんな先生の実体験からくる想いは翻訳にあたってどのようであっただろうか・・・
鉄道遊撃隊;