■オリンピックまで100日
2008.5.9付け共同通信の消息によると、
中国国内のチベット報道を批判した広東の「南都週刊」副編集長・長平氏が解職されたらしい。
暴動発生後のチベット報道について批判する評論を発表したところ、「売国奴」扱いを受け、系列紙である南方都市報も非難を受けていた。
南方都市報は実にこれまで数々の勇気ある報道をしてきた。
そのことに率直に敬意を表したい。
中国メディアにあって異彩を放っている。
4月30日、“北京五輪まで100日”と題する、元人民日報副編集長・周瑞金氏の論文が、「南方都市報」に掲載された。
その内容の一部抜粋。
・外国人に同じ意見を持つことを要求すべきでなく、平常心で世界に向き合うことが大切。
・カルフールへの抗議デモについて、心情は理解するが賢明な行動ではない。偏狭な民族主義・思想が若者にもたらす影響に警鐘を鳴らすべきだ。
・多元的な文化と心情を包容することを養うべきだ。理性的に自分の立場を表明し、異なる意見に慎重に対処すべきだ。
・さまざまな意見の中で西側の報道は各方面の意見を反映し比較的均衡がとれている。
・一部の事実でない報道や悪意ある報道に対して国民が敵視する状況を醸成すべきでない。
・主要メディアの背後には一定の民意がある。
・中国と西側では情報の落差がある。情報透明度、知る権利を高度に尊重することだ。多元的な意見の中でメディアの活動が行われることを学ばなくてはならない。
・五輪を、全世界の記者が異なる視点で中国を見る機会とすべきで、五輪開催には「国民の素質などソフト面が重要」だ。
・経済力や金メダルを天下に示すだけでは、自分に陶酔しているだけで自らの印象を傷つける。
・チベット問題については、相手に政治的陰謀の帽子をかぶせず、問題に関わる指導者は伝統的で政治的な思考方式から抜け出すことが重要。
さて、この論文が今後どのような物議をかもすのだろうか・・・