■なるほど

e0094583_940457.gif日本の新聞ではなく、他国の新聞記事を読んで「なるほど」と思い知らされることが多々ある。

その一例。
「国民総魅力」 Gross National Cool; (朝鮮日報の記事から)
「魅力」を売るクールな日本
一人の女性が畳の部屋に正座している。
華麗な着物を身に着け、顔には厚くおしろいを塗っている。
京都・祇園の料亭で見かけるような芸者の姿だ。
面長な顔のラインが出ていなければ、外国人だということに気付かないところだった。

数カ月前に外信で入って来たこの写真から、記者はしばらく目を離すことができなかった。

主人公は、西洋人初の芸者となったオーストラリアの女性学者だった。
舞・楽器・茶道・話し方などの厳しい修練を経て、ついに難関を突破した。
月10万円の授業料を払い、「値段は自動車1台分」という着物も購入したという。
彼女はオックスフォード大学で博士号を取得している。
それほどのインテリが、芸者のどんな魅力に惹かれたのだろうか。

日本の文化的魅力を取材しようと心に決めたのは、この写真のせいだけではなかった。
それまでにも似たようなニュースが続き、記者の好奇心を刺激していた。

世界的な権威を誇るフランスのレストラン格付け本『ミシュラン・ガイド』は、東京を世界最高の「美食都市」に挙げた。
伝統ある美食強国フランスを退けたのだ。
そうかと思えば、ヨーロッパの若者たちの間で日本の伝統的な結婚式がブームだというニュースもあった。

日本に対する欧米の熱狂ぶりは、韓国人の想像を超えている。
マドンナは東京の路地裏を舞台としてミュージックビデオを撮り、スポーツ選手は意味も分からず日本式の漢字の刺青を入れている。
寿司が高級料理として知られているかと思えば、日本式「禅」スタイルは欧米の上流層が好む高級な生活様式として受け入れられている。

「日本」と聞くと、韓国人は経済大国を連想する。
トヨタ自動車やソニーの電子製品に象徴される製造業強国というイメージが絶対的だ。

一方、日本文化に対しては、「倭色」として質の低いB級の扱いをする。
韓国人は経済を除いた残りの分野、すなわち日本の文化や生活様式・美意識・価値観などについては、評価を出し惜しみして低く見る傾向がある。

しかし経済的な観点だけを見ても、21世紀の日本を正しく理解することはできない。
韓国人が意識しない間に、日本は経済大国を脱皮し、「文化大国」に変身した。今、日本は世界で最も魅力的な国として通じている。
ただ魅力を発散するのではなく、国家ブランドの魅力を利用し金を稼ぎ富を創出する「ソフトパワー」の経済モデルを作り出したというわけだ。

米紙ワシントン・ポストが「クール(Cool)な帝国・日本」という特集記事を掲載したのは、4年前のことだった。
記事は日本について、「地球上で最もクールな国だ」という賛辞を贈った。
日本の漫画・アニメーション・ファッション・映画が世界市場を席巻し、「文化が(製造業を凌駕する)日本最大の輸出品となった」と記していた。

日本製文化商品の躍進には目を見張るばかりだ。
世界は宮崎駿のアニメーションを見て、任天堂のゲームに没頭し、村上春樹の小説やケンゾー(KENZO)のファッション、安藤忠雄の建築に熱狂する。

日本の漫画は世界の漫画市場の60%を占め、日本製テレビアニメの米国向け輸出は鉄鋼製品の輸出額の3倍にも達している。
日本銀行によれば、1997年から2006年までの間に日本の総輸出額はおよそ1.7倍となったが、文化商品の輸出は3倍以上に跳ね上がった。

日本は、既に工業製品輸出国の段階を過ぎ、「文化輸出大国」に移行した。
このような日本を、製造業強国であるという伝統的な物差しだけで計り、正しく理解することができるのだろうか。

◆「国民総魅力」第1位の国家 
「国民総魅力」(Gross National Cool 即ちGNC)という指標がある。
米国ニューアメリカ財団のダグラス・マッグレイ研究員が、外交雑誌『フォーリン・ポリシー』(2002年5・6月号)に発表した論文で提示した。
文化という無形の価値を総合し一国の国力を評価しよう、という新しい試みに乗り出したわけだ。

国民総魅力とは、国民総生産(GNP)に倣った名であることは言うまでもない。一国の国力を評価する際、韓国人はGNPを尋ねる。GNPとは、商品とサービスの生産を通じ創出された経済的価値、すなわち経済的パワーを数値化したものだ。ならばなぜ文化的パワーは概念化され得ないのか、とマッグレイ氏は反問する。

重要なのは、マッグレイ氏が国民総魅力の概念を提示した理由が、まさに日本にあるということだ。
彼は「日本が1980年代の経済大国を凌駕する文化強国となった」と分析し、日本を説明するための道具として国民総魅力を提示した。
「経済」より「魅力」という文化的価値が、21世紀の日本を説明するに当たってより有用な指標となり得る、というわけだ。

こうした魅力を、日本経済は戦略的に活用し、国富を創出している。
日本経済は、もはや製造業だけの経済ではない。無形の国家魅力と文化的価値で金を稼ぐポスト・モダン経済に転換した。

その動因は何なのか。
日本での取材中に出会った雑誌『BRUTUS(ブルータス)』の芝崎信明副編集長が、この点を簡単に整理してくれた。
彼の説明はこうだ。

「“失われた10年”の長期不況が、日本文化を強く鍛えた。好況だったとき、日本は金の力で文化を買った。しかし今は、バブルが弾けて金がない。金で買えないなら、日本自身がクールになるしか…」



ノーベル賞受賞は、日本の「産・学・官」連携による成果だと評価する朝鮮日報の記事;
日本人のノーベル賞受賞、その背景にあるもの
今年のノーベル物理学賞に、日本人の物理学者3人が選ばれた。

このうち、名古屋大の先輩と後輩である高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)の小林誠名誉教授と、京都大の益川敏英名誉教授(京都産業大教授)は1973年、物質を形成する素粒子であるクォークの5番目と6番目の粒子が存在するという理論を発表し、その功績が認められノーベル賞に輝いた。
クォークは原子核を構成する基礎的な粒子だ。

だがなぜ30年も経った今になって、ノーベル賞を受賞することになったのか。

◆実験で立証されて初めて授賞対象に
ノーベル賞委員会は、「理論の研究は必ず、実験によって検証されて初めて授賞の対象になる」という原則を貫いている。
言い換えれば、ある理論を打ち立てた学者が1日でも早くノーベル賞を受賞するためには、誰かによる実験が伴わなければならないというわけだ。

小林・益川両教授による研究の結果は、73年に日本のある学術誌に発表された。当時、クォークは4個存在することが知られていたが、両教授はクォークがあと2個以上存在しなければ、既存の素粒子物理学と相容れないという研究成果を発表した。
徹底的な理論の研究によって新たな粒子の存在を突き止めたのだ。

一方、日本政府は両教授の理論を検証するため、99年に高エネ研に対し1兆ウォン(約853億8350万円)以上もの投資を行い、巨大な加速器を製作した。

宇宙の根本原理を明らかにしようという目的もあったが、ノーベル賞受賞者を輩出しようという日本政府の目標も見え隠れしていたのだ。

実験は原子核を猛烈なスピードで衝突させ、このときに発生する素粒子を観察することにより、小林・益川両教授の理論を検証するというものだった。

そして2001年、日本の高エネ研はついに、米国のスタンフォード線形加速器センター(SLAC)と同時に、両教授の理論を裏付ける研究成果を発表した。
韓国からもソウル大、高麗大、延世大、成均館大、慶尚大、慶北大から約20人がこの実験に参加した。

当時の論文の共同執筆者であるソウル大物理天文学部のキム・ソンギ教授は、「2001年の実験が成功しなければ、小林・益川両教授のノーベル賞受賞もなかっただろう。日本の大学で博士学位を取得した両教授の理論を、日本政府が投資した巨大な加速器によって検証したという点で、まさに日本の、日本による業績だ」と述べた。

◆政府の支援が「隠れた功労者」
日本政府の支援によってノーベル賞を受賞したのは今回が初めてではない。
東京大の小柴昌俊教授は、クォークと同じ素粒子の一種であるニュートリノ(中性微子)を発見し、2002年にノーベル物理学賞を受賞した。

小柴教授の受賞もまた、1980年代に日本政府が30億ウォン(約2億5400万円)という、当時としては巨額の投資を行ったのが功を奏したのだ。また、実験設備のメーカーとして世界的に知られる浜松ホトニクス社が支援したことも、決定的な影響を及ぼした。

ニュートリノは光のように高速で移動しながらも、質量が非常に小さく、ほかの物質との反応もほとんどない。

それだけ検出するのも容易ではないが、浜松ホトニクス社は小柴教授の依頼を受け、ニュートリノを検出できる設備を世界で初めて開発した。
そして日本政府はこれを財政的に支えた。

ノーベル賞を受賞できるだけの研究成果は決して少なくない。
だが問題は、これを実験によって立証するために、企業や政府がいかに力を合わせるかということだ。

ソウル大物理天文学部の金修奉(キム・スボン)教授は「2002年の小柴教授にしても、今年の受賞者にしても、実験が成功しさえすればノーベル賞を受賞できるというケースだ。

ーベル賞というものが、政府の科学に対する戦略的な投資の成果であるという事実を、韓国社会も認識しなければならない」と話す。

日本はニュートリノの分野で、新たに大規模な投資を行う準備をしている。
2兆ウォン(約1699億2400万円)の費用を投じ、陽子加速器施設のJ‐PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)の建設を進めているのだ。

この施設を通じ、ニュートリノが生存している期間や異常現象などさまざまな特徴を究明することが期待されている。

今後におけるノーベル物理学賞受賞者のさらなる輩出に向け、日本政府の新たな取り組みが始まったというわけだ。
[PR]
by officemei | 2008-10-23 09:38 | ■日本