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■ハニートラップ(honeytrap)

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“M・バタフライ”(M.Butterfly)。
フランス外交官と中国女性の数奇な恋を描いた映画(1993年公開)。

1964年、文革前夜の北京。
大使館に勤務するフランス外交官と中国オペラ(京劇)の俳優が恋に落ちる。
だが、彼女は国家機密を狙ったスパイだった。
しかも驚くなかれ、その彼女とは女装した男性だった・・・
バックに流れるプッチーニの“マダム・バタフライ”が実に印象的(無気味)だった。

この作品は実話に基づいている。
1964年、駐中国フランス大使館の外交官ベルナール・ブルシコは、京劇俳優の時佩孚と恋に落ちる。
そもそも京劇は歌舞伎と同様に、役者はすべて男性だ。
女形が女性を演じることも知らないような外交官がいること自体、大いに問題ではあるが。

その後、時佩孚は「妊娠」する。
文化大革命に突入した当時、外国人と通じる者はスパイ行為とみなされた。
(大使館員として文革末期を北京で過ごした私のような軽輩にも尾行がついていた)
当局はブルシコを脅迫、「彼女」の身の安全と引き換えに外交機密の提供を迫る。
悩んだ末に彼は国家機密より「彼女」を選び情報提供を続ける。

やがて青い目の混血児が生まれた(新疆ウイグル自治区から当局が連れて来たニセモノ)。

離任帰国後も彼は中国に置いてきた家族のことが忘れられない。
そして1982年、彼は家族をフランスに呼び寄せることに成功する。
まもなくして、彼らはフランス政府に逮捕された。
国家機密漏洩罪・スパイ罪。

法廷で新事実が判明した。
彼の愛した時佩孚が実は男性であったことが・・・

ここまでの経緯から誰しも疑問に思うことは、どうして彼女が男性と気づかなかったのか、どういう性行為がおこなわれたのか、こいつはバカじゃないか等々。

確かにバカっぽいが、それだけ信じさせる迫真の演技が「彼女」にあったのだろう。

新種の“ハニー・トラップ”だ。

ハニー・トラップ・美人局(つつもたせ)といえば、
2004年5月、駐上海日本領事館員が自殺した。
女性問題で中国当局から脅迫を受けた。
日本の外交機密の提供を迫られるも「国を裏切ることはできない」と遺書を残し自殺する。

美女をターゲットに接近させ肉体関係をもたせる。
既成事実を作っておいて女性問題や買春疑惑などの因縁を付ける。
そして情報提供を迫る。

オーストラリアに亡命した中国の警察官が台湾で講演会を開いた。
その場で、中国当局が“ハニー・トラップ”で台湾ビジネスマンをターゲットにし、情報収集に協力させるマニュアルを公表した。

まずターゲットに接近、風俗の女性を紹介。
その後、突然警察の臨検があって買春の現場を押さえる。
厳しい訊問・脅迫、甘い罠、釈放するから情報収集をしろ・・・

香港の民主派(反共産党派)議員やシンガポールの新聞記者も、買春罪で当局に逮捕勾留されたことがある。
アメリカではCIAの情報部員やFBIの関係者も“ハニー・トラップ”の罠にかかり、米国の機密情報を中国に流し続けて逮捕されている。

中国国内でも著名な民主派作家が買春罪で逮捕勾留された。
女性問題を理由に民主活動家を迫害する一例。

罠を張る。
陥しいれる。
買春・脱税などの罪名で逮捕迫害する。

2003年に起きたある日本企業の集団買春事件。
数百人規模の社員旅行で訪れた広東省珠海市。
ホテル側の企画・斡旋で500人あまりの売春婦が動員された。
事件発覚後、中国外交部は日本政府に対し、「国民教育を強化しろ」とコメント。
買うほうにも弱みはあるが、売り手がなければこんな事件は起こるはずもない。

2007年、新華社の記事によると、北京市三里屯地区のバー街でオーナー・用心棒・売春婦が共産党支部を成立したとのこと。
共産党は性産業従事者にも盃を交わしている・・・
恐るべしコングロマリット。