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■大連のある夫婦

嘗て大連外語学院で日本語を専攻した学生が、それぞれ日本の暮らしを体験し、やがて家庭をもち、子供ができ、今では大連で大いに活躍している。 

夫は役人から転進し、手広く対日関係事業を行なっており、妻は日本語の教育現場に身を置いて久しい。
以前から奥さんとは仕事を通じ面識があったが、今夜初めてご主人をご紹介いただいた。
40代半ばの風格ある紳士であった。
夫婦とも大変流暢な日本語を話される。
宴席を囲んでの歓談は日本語・中国語の多重放送を彷彿させた。
宴半ば、ご主人の指摘された言葉に深く感じることがあった。
それは、我々はある意味非常に似た境遇を有していることだ。
先ずご主人は日本語を専攻し、日本体験を持ち、大連市政府の外事畑で通訳などを担当され、退職後対日関連事業を手掛けておられる。
私は中国語を専攻し、卒業後北京大使館に身を置いた。
その後大学院を経て紆余曲折の末、今は通訳・翻訳・対中関連事業を手掛けている。
ご主人の日本観は客観的で的確だし、私の中国観も決して的を外れてはいない。
言葉に対する敏感さ、探究心は、外国語を専攻しその道で生きている者同士共通する感性をお互い感じた。
奥さんは満族だということは以前から知っていたが、今夜の歓談で祖父が満州国検察院長であったことを知った。
終戦後や、文革時期にはさぞや一家は苦労されたことだろう。
特に文革時期を(末期ではあるが)北京で体験した私には、察するに余りある、暗黒、非情、狂乱の時代だった。
そのような辛酸をなめた経歴を微塵も感じさせない気品と風格をもった女性だ。
それが家格というものだろうか。
by officemei | 2005-10-24 00:08 | ■遼寧