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■ 三国連太郎逝去

「釣りバカ日誌」のあのスーさんがお亡くなりになりました、亨年90歳とのことです。
私には三国連太郎さんの思い出がひとつあります。
1982年の日中国交正常化10周年記念映画「未完の対局」、ロケで上海にいらっしゃったときに三国さんと奥様のお二人にお会いしました。
ご一緒に当時の上海友諠商店でショッピング、その折に日活映画「戦争と人間」で演じられた鴫田駒次郎のキャラクターについて、私が鮮烈に記憶に残っていることをお話しすると、三国さんはちょっとはにかんだようなあの風貌で答えてくださいました。
数々の出演作品を観てきましたが、あの時のあの表情が脳裡に焼き付いています。
三国さんを偲んで、合掌・・・ 

旧上海友誼商店にて、主演の三国連太郎氏と;

■ 三国連太郎逝去_e0094583_12532571.jpg



大連にて、三国連太郎を思う;
五味川純平の「人間の条件」や「戦争と人間」を大学時代に連日徹夜して読み耽った。
その頃の学生は左傾するのが一種ブームでもあった。
特に「戦争と人間」は、当時翳りが見え出した日活がオールスター総出演で映画化した。日本が軍国化する時代を背景に、舞台は内地と半島・大陸に及び、壮大なストーリーの中で近代史を説き、且つ戦争とは、人間とは、を問いかける。

私は、日活映画「戦争と人間」のさまざまなシーンを今でも鮮やかに記憶している。
北大路欣也と佐久間良子のプラットホームでのわかれ、浅丘ルリ子と高橋英樹の激しい恋、裕次郎の外交官役や藤岡重慶の関東軍参謀、高橋悦史の傲慢な性格、地井武男の朝鮮パルチザン、栗原小巻の中国人役、そして三国連太郎の悪に徹し鬼気迫る演技。などなど・・・ほんとうに豪華なキャスティングだった。

私はその当時、三国連太郎氏に会ったことがある。その後10年ほどして「未完の対局」という映画のロケで上海に来られた時に数時間通訳をし、その折に「戦争と人間」撮影時の話をしたことがある。

私にとって「大連」は、なぜか叙情的なまちではなく、三国連太郎演ずる脂ぎった殺し屋とか、満州浪人が闊歩するイメージが抜けない。
血気盛んな頃に読んだり映画を体験した「戦争と人間」の世界がトラウマになっている。