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■ 自分が納得のいく仕事に出会うために

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『何のために働くのか 自分を創る生き方』 (寺島実郎 著)
この新書を書いたのは、今を生きる若者への共鳴からだ。4年前から多摩大学の学長となり、講義やゼミを通じて多くの学生と密に接してきた。そして、現代において「自分はこれをやるために生まれてきた」と思える仕事を見つけることが、いかに難しくなっているかを痛感した。「働く意味」が実感できる仕事が見つけにくいということは、生きづらさに直結する。
我之所以写这本新书,是出于我对这一代年轻人产生的共鸣。四年前,我开始担任多摩大学校长,通过讲座或研究会和许多学生有过密切接触,进而深切地感受到,在现代社会,要想找到自认为“自己是为它而生”的工作,变得多么地困难。能让人体会到“工作的意义”的工作难以觅得,这与生活的艰难是分不开的。

食べていくためだけならば、仕事はあるだろう。仕事が持つ経済的自立を手に入れるための側面を私は本書で「カセギ」と呼んでいる。人は「カセギ」だけのために仕事をしていても満足できない。いつの日か「私はなぜこの仕事をやっているのか」という問いに直面せざるをえない。それに答えるためには、仕事を通じて自分が人間的に成長し、社会に貢献している、という手ごたえが必要不可欠だ。仕事のそのような側面を「ツトメ」と呼んだ。つまり、「カセギ」と「ツトメ」を両立させなければ、自分が納得のいく仕事には出会えない。その認識が本書の出発点になっている。
如果人们只是为了混口饭吃,工作也不是没有。工作让人获得经济自立,我在本书中将工作所拥有的这一面称为“挣钱”。可人们不甘于只为“挣钱”而工作,总有一天,人们不得不面对“我为什么要做这份工作?”的问题。要回答这个问题,自己在工作过程中有了实现自我成长、为社会做出贡献等真实体验便是不可或缺的要素,而工作拥有的这一面,我称之为“职责”。也就是说,只有兼备“挣钱”和“职责”两方面,人们才会遇到自己满意的工作。这个认识便是本书的出发点。

しかし、現代では、この両立は構造的に難しくなっている。それにもかかわらず、多くの若者が「自分が納得のいく仕事」を求めて、もがいている。私はそんな若者と本気で考えてみた。
而在现代社会,这两方面从结构上变得难以两全了。尽管如此,许多年轻人还在寻求“自己满意的工作”,为之挣扎着。我和这样的年轻人一起认真地思考了起来。

なぜ、こんな時代になってしまったのか。それは、サービス業の割合が増え、分業化と効率化が追求された結果、IT革命のインパクトもあり、多くの仕事が「誰でもできる」仕事になってしまったからだ。「誰でもできる」ということは、個人の側から見れば、自分はとりかえのきく存在であるということだ。働くことは、毎日、自分がとりかえのきく歯車であることをかみしめながら、与えられた業務を消化していくことになってしまった。就職した若者が3年で3割やめていくのは、「今どきの」若者が飽きっぽいからではなく、そのような現実があるからだ。
为什么现在会陷入这样的时代呢?那是因为,服务业比例增加、行业分工化和效率化倍受推崇,再加之IT革命的影响,许多工作都变成“任谁都能做”的工作了。所谓“任谁都能做”,从个人的角度来看,是说自己就是可被随意更换的角色。工作的性质变了,每天人们就像可被随意更换的齿轮,当天将分配给自己的任务做完就叫工作。年轻人工作三年下来,有30%都辞职了,不是因为“现如今的”年轻人喜新厌旧,而是因为上述的现实情况使然。

かつての日本には「家業」があった。父の背中を見て育ち、いつしか見よう見まねでその仕事を覚え、やがて一人前になる。そして、その技を今度は子供に伝えていく。その循環に身を投じれば、自然と「カセギ」と「ツトメ」が両立できた。しかし、今やそんな家業はほとんどなくなってしまった。
过去的日本有“家业”,孩子看着父亲的背影长大,耳濡目染地做起这份工作,技法渐渐娴熟、最终能够独当一面,接下来,又轮到他将自己的技法传授给下一代。如果亲自投身于子承父业的循环里,“挣钱”和“职责”自然就能两全了,但是,现在这样的家业几乎都看不到了。

家業を継がず都会に出て、自分の「天職」を見つけようとする者も大勢いた。私も含む団塊の世代がまさにそうだ。彼らは「企業」に入ることで、「ツトメ」と「カセギ」を両立させた。戦後日本の企業は酒食をともにし、自分を鍛え、仲間を作り、結婚相手を見つけ、自分の仕事が社会に貢献している手ごたえを得る家族主義の場だった。しかし、今の若者を迎える企業は変貌してしまった。年功序列と終身雇用は崩壊し、社内の人間は皆ライバル。能力主義、成果主義が導入され、常に専門性や技能を高めなければ、十分な「カセギ」も得られない。派遣やパートに支えられる現場において社員という連帯さえ容易ではない。企業は温かく人と絆を育み、「ツトメ」を実感させてくれる場所ではなくなってしまった。日本人はかつての企業を失って、バラバラにアトム化された個人になり、アイデンティティ・クライシスに陥っているように見える。
放弃继承家业、试图到城市里寻找自己的“天职”的人也大有人在,包含我在内的“团块世代”[1]尤为如此。这一代人到“企业”里工作,使“挣钱”和“职责”得以两全。战后日本的企业秉持家族主义,同事们一起吃饭喝酒、在工作中锻炼自己、结交朋友、认识婚姻伴侣,为社会做出贡献,企业就是让人拥有这些真实体验的大家庭。可是,迎接现在这一代年轻人的企业又是另一副模样。论资排辈和终身雇佣制崩溃了,公司里人人都是对手。企业文化中引入了能力主义和成果主义,人们只有不断提高自己的专业性和技能,才能获得可观的收入。职场由派遣员工或兼职员工担任主力,职员甚至难以团结协作。企业不再是温馨、人情味浓厚、让人深感“职责”所在的地方了。曾有的企业风光不再,而日本人看上去就像是四散游离的个体,正深陷于同一性危机之中(无法认清自己的独特性、不知该为扮演什么角色而努力)。

そんな時代に、どのように「カセギ」と「ツトメ」を両立させていけばいいのか。仕事を通じて、どのように自分を創っていけばいいのか。その問いを前に若者だけでなく、多くの働く人が立ちすくんでいるのではないだろうか。答えを見出すきっかけやヒントを得られるように私はこの新書を書いた。答えは自分で見つけるしかない
在这样的时代背景中,我们如何让工作兼备“挣钱”和“职责”两方面呢?在工作的过程中,怎样才能创造自己呢?这些问题不仅摆在年轻人面前,许多上班族也面临着这些问题吧,所以我特地写下这部新书,希望大家能够得到回答上述问题的契机或提示。答案,只能让大家自己去寻找。

第2章では、ソフトバンクを創業した孫正義氏や建築家の安藤忠雄氏、スズキ会長の鈴木修氏といった先達が困難な時代にあっても格闘を続け、いかに答えを出していったのかを探った。 そして、第三章では、「働く意味」をいかに見出していったのかに焦点を絞って、私自身の人生を振り返った。
我在第2章,以软银集团(Softbank)的创始人孙正义先生、建筑家安藤忠雄先生和铃木会长铃木修先生等成功人士为例,探寻了他们如何在困境中不断拼搏、最终找到答案的历程。然后在第3章,围绕如何发现“工作的意义”的中心思想,回顾了我这一生。

また、第4章では、「アジアダイナミズム」「エネルギー革命」など、正確な時代認識を持つための基本的な視座を記した。私は常々「経営とは時代認識だ」と言ってきたが、そのことは「人生の経マネージメント営」にもあてはまる。自分の納得がいく仕事を見つけることと正確な時代認識を得ることは遠く離れているように思っている人がいるかもしれないが、それは間違いだ。「どこにいるのか」がわからない人が、「行くべき場所」にたどりつけないように、「どんな時代に生きているのか」を把握していない人が「自分が納得のいく仕事」に出会えるとは思えない。
接着,我在第4章里记录了几大基本观点,有助于大家树立正确的时代观,如“亚洲的活力(Asia'sDynamism)”、“能源革命”等等。我常把“经营就是时代观”挂在嘴边,这句话其实也适用于“人生的经营管理”。或许有人会认为,找到自己满意的工作和树立正确的时代观风马牛不相及吧,但他们想错了。就好比,不知道自己“身在何处”的人无法走到“目的地”,同理,不清楚“自己生活在怎样的时代”的人,我也难以想象他会遇到“自己满意的工作”。

しかし、本書は「こうやればいい」というマニュアル本ではない。当然のことだが、答えは自分で考え、見つけるしかない。確かに今、自分が納得のいく仕事を見つけるのは難しい。しかし、「社会が悪い」「時代が悪い」と言って、戦いをやめてほしくはない。本書が自分の人生を創造していくための筋道だった思考のヒントになれば、と切に願っている。
但是,本书可不是告知大家“照做便行”的指南书,当然,答案只能靠大家自己去想、自己去发现。的确,现在是很难遇到自己满意的工作,但我不希望大家埋怨“社会的错”、“时代不好”而放弃战斗。我衷心希望本书能够成为启发大家找到创造自己人生之路的钥匙。

注释:[1]团块世代:专指日本在1947年到1949年之间出生的一代人,是日本二战后出现的第一次婴儿潮人口。(译注)
by officemei | 2014-02-06 09:34 | ■日本