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■メイドさん人気

6月21日
上海など中国の大都市でもフィリピン人のメイドさんを雇う家が増えてきた。
国内の地方都市や農村部からやってきた従来型のアイ(家政婦)さんに比べ、欧米風の現代的な生活習慣を熟知していることや、プロ意識が強く、安心して家事を任せられる点がその背景にある。一方でビザの問題などで供給は不足気味で、賃金の高騰が起きている。




先日、レストラン経営者の友人と会ったら「フィリピン人のメイドさんを雇いたいのだが…」という話になった。子供もじき小学校だし、先日一戸建ての家を買って引っ越したところで、家事全般と子供の相手をしてくれる住み込みのメイドさんがいいと言う。
聞くところでは、フィリピン人メイドを紹介する専門の会社があって、相談に乗ってはくれるのだが、紹介料が高いうえに人材不足でなかなかいい人が見つからない。月給の相場はどんどん高くなって、昨年は3500元(1元は約14円)ほどだったものが、最近は5000元ぐらいになっているらしい。
もともとメイド的サービスは珍しくない
中国の都市部ではアイさんをお願いすること自体は珍しくはない。両親とも仕事を持っているのが普通だから、昼間、子供の面倒だけ見てもらうとか、一人暮らしのキャリアウーマンが、出勤中に掃除や洗濯、夕食の用意を済ませておいてもらうといったやり方もよくある。中国人アイさんの場合、相場は住み込みだと月額1000~2000元の間、「1日3時間だけ、週3回」といった頼み方なら数百元で頼めるから、中流以上の家庭なら充分に負担できる金額である。
そうした土壌はあるにせよ、なぜ今フィリピン人メイドさんのニーズが増しているのか。その最も根底にあるのが都市生活の洋風化、生活の質の向上である。
国内のアイさんは確かにコストは安いのだが、ほとんどは農村部から出てきた人だから、都会風のライフスタイルを体験したことがない。中国の大都会には世界中から最新のモノや情報が大量に流れ込み、生活習慣も日々大きく変化している。料理や洗濯、掃除といった基本的なことでもなかなか対応しきれないのが現実だ。
例えば、洗濯にしても大きな変化がある。

一昔前なら何でも洗濯機に放り込んで洗えばよかったが、最近は素材とか織り方の違いなどにこだわる人が増え、この手の服はこの洗剤はダメとか、これは手洗いでとか、細かな要求が多い。アイロンのかけ方もしかりで、素材の質によって温度を変えるといった細かな対応が求められる。
子供の教育にもメイドさんの影響が
そんな概念とは無縁の社会で育ってきたアイさんたちにしてみれば容易なことでない。その点、フィリピン人メイドさんたちは外国人の贅沢な生活に慣れているから戸惑うことがない。
子供の世話も同じ構造だ。子供に接する時間の長いアイさんが子女の成長に与える影響は大きい。両親にしてみれば農村部出身のアイさんよりも、教育水準も比較的高く、英語を話し、現代的な生活になじんだフィリピン人メイドさんにお願いしたいと思う例が増えている。
もう1点、雇い主から見た「使いやすさ」の問題もある。中国は社会主義の影響か、人と人は対等であるという観念が強く、アイさんも主張することは主張するし、中には雇い主に対して「こうすべきだ」と意見する人も少なくない。これはあくまで善意であって、中国社会の美点でもあるのだが、日常茶飯の用をお願いする人があまり自己主張が強いと、いささか疲れる。その点、フィリピン人メイドさんは「分をわきまえている」というか、余計な口出しは少ないのでやりやすいのだそうである。
需要は多いが、家事労働目的の入国は違法
というようなことで、フィリピン人メイドさんの需要は増えているのだが、最大のネックは中国のビザである。家事労働を目的としての入国、在留を当局は認めていないから、現在は「在中国のフィリピン人家庭で子供に英語を教える」といった名目でビザを取得している。厳密に言えば不法就労である。当局は厳しく取り締まってはいないようだが、今後どうなるかは分からない。
供給が限られるからコストは高い。給料のほかに斡旋会社の紹介料が1万元以上、往復の飛行機代も必要だし、ビザの申請料やら健康診断の経費やら、様々なお金がいる。そんなこともあって現状では雇い主は中国在留の香港人やシンガポール人、もしくは外国帰りの英語が話せる富裕層が中心である。今後も国内のアイさんとの棲み分けが進んでいくだろう。
香港に行くと、大勢のフィリピン人メイドさんたちが日曜日、セントラル一帯に集まって日がなおしゃべりしているのを目にする。近年、上海の「香港化」が急速に進んでいるが、メイドさんについても同じような光景が遠からず見られるようになるかもしれない。
by officemei | 2006-06-21 19:09 | ■上海