■台湾人が牽引する不動産市場

「家を持って初めて財をなせる」。台湾の伝統的な考え方も影響し、上海で働く30万人とも40万人とも言われる台湾人ビジネスマンは、自宅と投機の目的で積極的に不動産を購入してきた。

上海の不動産市場で存在感を示してきた台湾人ビジネスマンだが、最近はすっかり鳴りを潜めている。中国政府が不動産価格の高騰を抑えるため、立て続けに引き締め政策を発表したからだ。

上海で不動産情報誌「上海楼市-境外人士専刊」を発行する台湾人、蔡為民さんは「台湾人の不動産購買力や購買意欲が下がったわけではない。今は静かに状況を見守っているだけ」と説明する。

宣伝やビジネスPRの盛んな香港人と違って、台湾人の不動産市場における実態は見えにくいと言われる。しかし、上海の台湾人ビジネスマンの動向は、他の投資家の行動指針ともなるらしい。「台湾人が上海の不動産市場を引っ張っている」と蔡さんは指摘する。

中国の不動産市場の拡大は98年に始まる。国営企業の分配する住宅制度が廃止され、個人の住宅購入を促進する制度改革が実施された。中国経済の急速な発展に伴い、2000年ごろから台湾人の上海進出が加速化した。台湾人や香港人を含む外資には投機目的での不動産購入も多く、05年の上海の不動産価格は2000年の3倍以上に跳ね上がった。

「1週間のうちに値段が上がらないと『変だ』と感じるほど、上海の不動産市場は非理性的な歩みを見せた」と蔡さんは振り返る。

中国誌によると、今年1~3月の外資による中国の不動産購入は45億ドルで、昨年1年間の総額34億ドルを超えてしまった。06年上半期の固定資産投資は前年同期比29・8%増と、依然として投機熱が続いている。

そこで、中国政府は昨年3月の不動産政策に続いて今春から、不動産市場の調整に再び乗り出した。主な内容は
(1)中小型住宅や賃貸住宅を増やす
(2)税制、住宅ローン、土地政策によって住宅需要を調整する
(3)台湾人や香港人を含む外国人の不動産購入の個数を制限する--など不動産投資への規制は厳しくなっている。

蔡さんは「大局的な手段を取らなければ、高値で住宅を買えない一般の人々の怒りが爆発していた」と語る。住宅政策の再改革が始まり、不動産投資の今後の状況は読みづらくなった。台湾人ビジネスマンの動きは今、止まっている。

しかし、蔡さんは「上海の発展の可能性は高く、台湾人の資金は必ず上海の市場に戻ってくる」と断言する。中台の経済交流が緊密化し、徐々に大陸に根付いていく台湾人ビジネスマンにとって、上海は既に他の土地とは異なる「特別な場所」になっているからだ。(毎日新聞)
by officemei | 2006-09-02 06:30 | ■上海